トバゴの砂の上    
     

トバゴ島の砂の上には
何でもある。
拾われるのを まつわけでもなく
選ばれるのを きたいするわけでもなく
そこにいる。
選ばれるに
あたいするだけの すてきなものを
ひそかに 持っているというのに。
すべては この砂のひとつぶだという
いさぎよさ。
波にあらわれ いくども いきかえる。
星空だけでなく
砂の上にも 世界をくつがえすほどの
おおらかな 惑星たち。



ピジョン・ポイントで売られていた
黒珊瑚。砂の上に並べたハートたち。
海の近くにいると なにも ほしくなくなる。
ながいあいだ ともだちでいるひとが
誕生日にひとつだけ 買ってくれるという。
全部じゃだめと 訊いたら だめと言われた。
だから 私たちは恋人に ならないのだ。
 
     ぽつりぽつりと個性的なかたち。
   動物クッキーのように、愛らしい
   ナマケモノやいるかや狐。
   でも天使はいない。天使は 砂がにがて。
  
       
             
 

         

    スポンジのような岩。
穴のひとつひとつに 命がある。
穴のひとつひとつから
そこかしこへと 命はにげだしていく。
 
 

           石の中に貝がうまっている。
いや いつのまにやら
 くっついてしまったのかも。
あまり長いこと 眠っているから
そういうことになるのだ。

     

海にささる流木。
海は営みをじゃまされても気にしない。
海はいつも
 ほかのことに
気をとられている。
 



骨に似た珊瑚の亡がら。
もういたみを 感じない。
でもきずつけたダイバーのことは
忘れちゃいない。
             
             


n e x t h o m e island dreams