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ティキハット ベイビー
乾いた草の屋根の下
トリュフのような 甘い葉陰。
つばひろ帽子の下で きみの顔もチョコみたいに
黒くとろけてる。まるで知らない女の子みたいだ。
今は 昨日見た夢の話なんかしてる。
旅先で見る夢は その土地の歓迎の言葉だとか何とか。夢を見るどころじゃなかったぼくは
うなずくふりで 赤い爪先をつたう椰子蟹をみつめる。影はどんどん細くなり もう指先でとけおちんばかりだ。
ぼくは言い訳めいて じりじり後ずさる。
今 鳥肉と豆ごはんのランチボックスを両手に抱え
戻ってきたところだ。一日も半分きてしまった。
きみは歓声をあげる。
その嬉しそうな声。探し物を手に入れた喜びの声。
ごめんね ティキハット ベイビー
憧れられているうちは 恋なんてできないや。 |