椰子の実カーは 行く

だれもいない小さな島があり、長く孤独なときをへて一本の椰子の木が空に伸び、光を浴びて実をいだき、そのうちのひとつが「もういいかい」と砂に飛び降り、母椰子の隣に根をはらんとしたところで大嵐におそわれ、波間をさまよい、だれもいない島にたどりついた。
新しい島に根をはった椰子は母椰子を恋ながらすくすく育ち、実をいだき、その実が隣に根をはらんとしたところで嵐に巻かれ、見知らぬ島に流れついた。

それを見つけた子供たちがボールがわりに遊び、投げそこねた椰子は、年老いた木の根元にころがり、どこか懐かしさに胸をいっぱいにした椰子の実はそこに根を伸ばし、実を育て、そうして育った椰子たちは林をつくり、年老いた椰子を砂嵐と高波から守った。

「今、あんたが食べているのはその椰子林からとってきたココナツさね」と、椰子の実売りが笑う。
千年の孤独がつまった椰子の実は、甘くつめたい光の味がする。椰子の実売りは、ココナツだけでなくバナナも売っている。
今、大昔の闘士がもつ刀のような鉈で、実をすぱりと割ってくれた。ジェリーのような果肉をすくい食べるうち、今度は冒険バナナの話がはじまった。

 

千年の孤独を
売り歩く


椰子の実カーは今日も
行く

in Port of Spain, Trinidad


 palm trees h o m e island dreams