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雲ニ テノヒラ
昨日の嵐を 雲がすべて
吸い取ったようだ。
波光をあつめ 荒々しく
急ぎがちの あの空。
彼は なにかに追いつめられている
気になる。
雷鳴のなごりを探すかのように
彼女が 目の上に手をかざす。
すぐに はっとしてひっこめた。
熱いものに触れでもしたみたいに。
彼は気づかぬふりで 煙草をふかす。
あの遠く くぼんだところに 伸ばされた
てのひらと てのひらと てのひら。
一斉に並んで 何かを見送っている。
遠イ光に 雲ハ泣キ
今 ボクラハ ヒトリズツ
あの雲がすべてを吸い取ってしまったようだ。今なら全部 もとどおりに
なるかもしれない。
二人は互いに告げることなく そっと思う。
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