OHIRUNE Diary December 2005(1)


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2005.12.1 (Thu) in NY    ★★

双葉社S町さんから書評の掲載されたスイッチと、松尾たい子さんと角田光代さんの本「Presents」が届く。初版はカバーがラッピングペーパー仕立てで、紙をめくると中からきらきらした表紙があらわれる仕掛けになっている。 なんと綺麗なつくりの本なこと。角田さんの視線は可愛いというより鋭く、ぐいぐいと深いから、こういう柔らかな仕掛けで女らしさがますなあ。しかしラッピングペーパーだから洒落ているのである。 「これカバーが包装紙なんですよ」だと、ありがたみが落ちるのはなぜか。おなかも痛いが背中も痛いので、椅子の背にクッションをおいた。そのぶん座るところが狭くなるのが難だ。 窮屈な尻。新しい椅子を探さねば。本日の映画;ジュール・ベルヌの「Journey to the Center of Earth」地底の茸が「男おいどん」好きには、たまらなく美味そうでそそられた。
 
2005.12.2 (Fri) in NY    ★★

寒風ふきすさぶ日。終日、一歩も外にでず。かわりに、ネットでカリブの島について調べる。NYからノンストップで行ける(ここがすでに怠惰な気持ちのあらわれ)カリブの島で、まだ行ったことのない場所というと。 バルバドス、ドミニカ共和国、セント・マーティン、セント・トーマスあたり。バルバドスに焦点を絞り、一気に旅行サイトで航空便などチェック。ひゅるひゅるとバルバドスが近づいてくる。 脳内には椰子の木がそよぎ、外は裸の木がうなっており。
 
昨日の晩ご飯の蟹づめマッシュルーム。パン粉、蟹缶、パルメジャンチーズ、にんにく、ネギみじんなどを詰めオーブンで15分。他にほうれん草と椰子の芽と胡桃サラダ。 晩ご飯はムール貝のワイン蒸し。リークの代わりに、日本のネギ(高い!)を最初ににんにくと炒めてから貝を投入。それと蟹とほうれん草のサラダ。
 
2005.12.3 (Sat) in NY    ★★★

昨日の段階であったJFK〜バルバドスの直行便がすでに埋まりはじめている。2月の予定だというのになあ。Expediaのサイトには「この値段ではチケットあと2枚!」と警告がでているし、値段も半日で$150もあがっており。 焦って朝いちで予約。ふぅ、ひと安心。その後、もう一度Expedaサイトをチェックしてみる。さっき2枚だったから、売り切れているはずじゃ、週末に早起き(しかし九時)した者の勝ちよの、とほくそ笑みつつ。 だが、まだ2枚のままだ。腑に落ちぬ。マイクロソフトの陰謀か。人をむやみに焦らせておいてあと50枚もあったら、お父さん怒るよ。午後、仕事用の椅子を探しにステープルズとオフィス・デポに。 やはり折りたたみの台所の椅子は無理があるらしく、最近背中が痛くてたまらぬのだ。色々検討し座りまくって、頭と背中が混乱してしまう。結局買わずにすごすご帰る。 本日の映画;ジュール・ベルヌの「Mysterious Island」巨大ニワトリに巨大カニ。怪獣映画の巨大蛾や巨大亀で育った日本人と、キングコングや巨大カニに夢中だったアメリカ人。 何を巨大化させるか、がカギとみた。
 
2005.12.4 (Sun) in NY   

朝起きると、雪がうっすらと辺りを覆っている。バスでユニオンスクエアのクリスマス・ヴィレッジへ。いくつものギフトショップが並ぶ迷路のよう。キャンドル屋、帽子屋、雑貨屋、おもちゃ屋。 いくら露店好きとは言え、あまりに寒く地面も湿っていてしんしん冷えてくる。早々に退散。バルコニー用の家具にカバーをかけ、雪の薄くかかったバルコニーへ、うんしょ、と追いやる。 寒い日に使用人を追い出す継母の顔で。居間がやっと少し広くなる。本日の映画;「The City of Lost Children」おぞましく恐ろしい断片を繋ぎ合わせた悪夢のごとき物語。なのに美しすぎる映像なのが、しゃくに触るやら感心するやら。
 
昨日は、戴きものの讃岐太うどん。袋に書いてあったレシピ「釜たまうどん」にしてみた。生卵の入った丼にゆでうどんを入れる、いわばうどんカルボナーラ。焼肉のせ!キムチとらっきょうも。 晩ご飯はラムチョップのスパイス焼き、芽キャベツのソテー、バルメジャンがけ(チーズどっさりで見えないが)、ムジャダラ。丸々肥えた芽キャベツの美味い季節到来だ。
 
2005.12.5 (Mon) in NY    ★★★

同じ階に見目麗しい男同士のカップルが越してくる。片方が美しいのはよく見るが、両方となると目の保養だのう。右隣には女同士のカップルも住んでいる。このフロアのストレートとゲイの比率は約半々ほど。 UPSのおじさんはいつも私のところに彼らの荷物を預けにくる。昼間に家でのらくらしてるのは、この階で私くらいだとバレているらしい。どんどん持ってきていいのよー、と心でけしかける。 先日預かった美男クリストファーの荷物は、トイレットペーパー・ホルダーだと言っていた(多分真鍮製で、飾りがついたりしていて、そのへんで売ってないものだろう)。「ありがとう、ハニ〜」と礼を言われ、にやける。今日預かったマーガレット(女同士のほう)の荷物はコーヒー豆だった。 いい香りを漂わせる箱を渡すと、「何買ったすぐ解るでしょう〜。ここの豆美味しいのよー」とのこと。みなさん、オンラインで色々と洒落たものを買うのがお上手と見た。
 
2005.12.6 (Tue) in NY    ★★

病院の健康診断へ。眠けがさめないまま、早朝の地下鉄駅に出向くと、なにやらキナ臭い。消防士もたくさんいる。訊いてみると火災で、上り路線が不通になっているらしい。 改札入る前に書いといてくれよ!$2損したよ!と焦りつつ、地上へ。やっとのことでタクシーをつかまえ、焦って予約時間に間に合わせるも、予約していた私の好きな女医さんではなく、なぜかいつもの男の先生だった。 ふっ、とため息をつきつつ、血をたくさん採られる。血圧正常。異常だったのは去年の手術の前あたりだけ。晩、J坊T坊とアルゼンチン料理の店へ@Azul。アルゼンチンといえばお肉。 血を採られた分、肉で補う心得なり。じゅうじゅうと煙をたてながら、たくさんの肉が運ばれてくる。地下鉄駅の煙はいやだが、肉のたてる煙は大変よろしい。食事を終え、J坊、家に寄る。 「高校のときの課題がロード・キルでさぁ」と言うので何のことかと訊くと、「ロード・キル」はRoad Kill、車に轢かれて死んだ動物のことだった。それを拾ってきて色々と恐ろしい処理を施し、骨標本だか剥製だかを作るという課題だったそうな。 J坊はなかなか路上の死骸が見つからず、養豚場から豚をもらってきたという。ああアメリカの、田舎の、理科系の高校生じゃなくて、よかった。しみじみ胸をなでおろす。
 
アルゼンチンのビール。まあまあ、だったらしい。ビール苦手な私は、アルゼンチンのワインを頼んだ。まあまあ、だった。 二人用肉盛り合わせセット。スカートステーキ、ラムチョップ、チキン、ソーセージ2種、そしてものすごく美味しかったスウィートブレッド(牛の胸腺)。それにフレンチフライとサラダ。
 
2005.12.7 (Wed) in NY    ★★★

注文していた仕事用の椅子が早々に届く。マルチ・ティルターなんたらとかいう、背もたれも座る部分も色々と「マルチに」調節ができるというご大層な椅子なり。 これで背中や腰の痛みから開放されるといいのだが。親方に早速組み立ててもらい、ぐるぐる座りながら回転したり、つつーと床を滑ったり、背の角度をあれこれ変えて遊ぶ。 なにせマルチだ。マルチ商法はいやだが、椅子のマルチは大変よろしい。しかし久々に使ったな、マルチ。彼女、仕事も恋もマルチにできる人よね、とか言われてみたいものだ。
 
入念なリサーチの結果選んだのはこれ。おニューのマルチな椅子、グローバルという会社のMalaga Muti-Tilter。背中にも腰にもグローバルに効きそうではないか。 今までの椅子。折り畳めるだけあって、すわり心地は今一歩。ちなみに以前これを4脚買ったら間違えて7脚配達されてきたので、うちにはこの椅子がたくさんあるんです、ふふ。
 
2005.12.8 (Thu) in NY    ★★

もぐらの絵本の一稿を送り。午後は、今日も好物ウォーカーズのショートブレッドをつまみながらネットサーフィン。ナプキンの上に置いていると、油じみがすぐにできるほどマルチなバターっぷりだ(日本語崩壊)。 親方が「そんなに好きなら、今度焼いてあげよう」というが、遠慮しておく。作っているところを見たら、罪悪感で食べられなくなるにきまっておる。世の中には見ないにこしたものもあり、だ。夜、久々にイギリス紳士と会食@E.Village。 食の細い紳士に「昼ご飯食べ過ぎないように!」と念を押し、一度行ってみたかった牛角に誘う。いつものように、大半私が食べている間に、紳士は未来の夢を語っていた。 人生ひとつしかないし!と紳士。そうそう、今しなきゃいつやる!と肉焼きながら私。
 
2005.12.9 (Fri) in NY    ★★

朝起きたら、一面の雪景色。滑りそうになりながら、細いぬけ道を歩いてエセックス市場へ。途中、頭上でくにゅくにゅぴーちく騒がしい声がする。見上げたら、鳥たちが一本の大きな木に集っていた。 大きな巣も見える。葉っぱなどちらほらしかない裸同然の木に、こんな雪の日に、かしましく集っているのだ。口をあけ、しばらく空と木を見上げていた。 市場でブルーベリー$2.99、エスカロール$1.99、チコリ$1.99、卵$0.89等買う(たまには値段を書いてみよう。後で読み返すときの参考に)。 卵もスーパーより新鮮で安い。本日の映画;「Old Boy」韓国映画は本当に濃いなあ、話が。近親相姦、復讐、監禁、無垢な少女の笑顔。それらがぎゅっと濃縮され、ぐいぐい引き込まれる。
 
おとといの晩ご飯は海老と鮭とアスパラのクリームパスタ。キャベツの温サラダ。海老とアスパラはタイム、にんにく、ベイリーフと炒めワインを少々。小麦粉をふりかけ、牛乳で伸ばす。 本日はいずみ鯛のホイル蒸し(ネギ、イタリアンドレッシング、黒胡椒、バターのせ)、白菜の煮びたし。
 
2005.12.10 (Sat) in NY    ★★

チャイナタウンのハードウェア・ストアでとっぷりと時間を過ごす。時間が止まったような店。置いてある商品も液漏れしたり錆びたりで、これが食品店なら100%賞味期限切れ!という感じの店だ。 かわりに、変わったネジやパーツがたくさんある。アンバランスな店には惹かれる。帰りに、数日前から気になっていたケーキドーナツを買う@ドーナツ・プラント。何日も前から「ケーキドーナツ発売まであと○日!」と張り紙があり、気になっていたのだ。 ここまで宣伝に力を入れるのだから、クリスマスに合わせた豪華なケーキ風ドーナツかも?と期待するも、シンプルな普通のドーナツだった。シナモンシュガー、チョコ、オレンジグレーズの三種類。 プレーンはないんですか、と聞くとないという。シナモンシュガーを買って食べたら、油がじゅわりとしみて、ものすごく甘かった。
 
先週作って気に入ったのでまた作った白いんげん豆とエスカロールのスープ。今回はターキーハムを入れずに作ったが、チキンストックのコクで十分だった。 砂糖を指でこそげおとして食べたドーナツ。NYではドーナツプラントよりはクリスピークリームのほうが人気あり。店は鄙びていて味があるのだけど。
 
2005.12.12 (Mon) in NY    ★★

昨日の晩はもぐらの絵本について、夜ポプラ社Kさんと電話で読みあわせをした。声に出してみないと、言葉の流れは解らないものだなぁ。Kさんが電話口の向こうで読む声にうっとり聞き入った。 編集者でなく、ナレーターでも生きていけるのでは!?というほど、ほうっと肩のあたりを柔らかく包まれる声だったのだ。その後、最終的な言葉の選び方につまずいてしまい、トイレに行くときも隣の部屋に行くときも、ずっとぶつぶつ喋りつづけていた。 はたから見ると、頭の中が愉快なことになってるひとだ。
 
晩ご飯は山羊のチーズとフリゼのサラダ、ふくろ茸入り麻婆豆腐。最近、ふくろ茸(しかも皮をむいていないまん丸の)なしじゃ麻婆豆腐を食べた気がしなくなっており。 晩ご飯はサーモンのハーブ焼き、筍と椎茸煮、フリゼと玉ねぎサラダ。ソースは、粒マスタード、白ワイン、ネギを牛乳とマヨネーズ少々でのばした。
 
2005.12.13 (Tue) in NY    ★★

夕焼けが凄くて圧倒される。マンハッタンの南端あたりのビルのてっぺんから煙が吐き出され、オレンジに染まっていく。橙色の雲が次々に生みだされていくかのよう。 一日ろくなことはせずに、今日も時折もぐらの言葉をもぐもぐ呟きながら、すごす。実質的な収穫はなくとも、まあこの夕焼けを目にしただけでよしとするかってな感じ。 島に行くと、みな夕焼けの時刻に砂浜に集まってくるが、あれって「一日をよしとする」効用があるんじゃないかな。本日の映画;「Frailty 」悪魔がついていると信じる人々を次々と殺していく父親。 子どもは与えられた環境を自然と受け入れていく。善悪の区別もつかぬうちから否応なく。その残酷さと力強さ。
 
晩ご飯はインスタントのソースで作ったペンネアラビアータ(ツナ、椎茸を入れた)、フリゼと玉ねぎサラダ。ついでにゆでたパスタで明日用のツナサラダもつくり。 ビーンズ型の缶に入ったジェリービーンズをもらった。あまり好きじゃないのに、ついその可愛さにつまんでしまうジェリービーンズ。お菓子って観賞用にはならないのだな。
 
2005.12.14 (Wed) in NY    ★★

さすがに冬ごもりにも飽きてきたゆえ、チャイナタウンまで散歩。食べ物屋をつぶさに見て歩く。日本の100円ショップ風「サムライ」も見学する。相変わらず”コップスタンド”がコツプスタソド”と書かれていたりして怪しく素敵な品揃えだ。 ジューイッシュの文房具屋も探索。入る店ごとに、他の人には声かけていないのに、「何かお探しで?」と話しかけられる。私があまりに何も買わずに、目的意識もなく、じっくりと棚を見ているせいだろう。 文房具屋の厳しげなユダヤ人のおじちゃんにも、ラベルのシールをじっと眺めていたら二度詰問調で訊かれた。思わずいらないシールを買ってしまう。ジューイッシュの店は大概きびしいのだ。 客にも自分にも時間にも。零下5度のなかをうろついたせいで、体が芯までひえびえ。
 
チャイナタウンのお買い物。きびなご風小魚(不明)のフライ、L$8、S$4とあったので小を買ったらこの量。数えたら35本はあったよ! 餃子4個、ミニ肉まん3個。 こちらは甘いココナツとバターが練りこんであるココナツ食パン。これでフレンチトーストを作ると幸せなり。今のところGrand通りの小さなパン屋にしか売っていない。
 

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